狭小住宅が注目される時代に!?
色々なモノの値上げのニュースが続いています。
住宅も「ウッドショック」がニュースになりましたが、最近は新築の見積もりをとると、今まで見たこともない数字になってしまい、家を建てることを延期する人も出ているそうです。
この状況を見て、私は「これから狭小住宅が注目されるのではないか」と期待しています(もっといえば、中古のリノベーションがもっと当たり前になってほしいとも思います)。
その一方で敷居が高いのも事実です。やはりコンパクトなだけに、家に対するすべての希望を叶えられるわけではないですし、そもそも狭小住宅を体感できる機会がなかったらイメージも湧かないからです。
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うちの夫は設計事務所をやっていますが、敷地20坪に建つわが家に見学に来て「こんな考え方もあるんだ」と設計を依頼してくださった方がたくさんいます。一方で狭小住宅を建てるつもりで見学に来て、「こんなに狭いのは無理」と諦められた方もいました。
また、「旦那さんが建築士」ということで、私自身、色々な人から家に関する相談を受けます。
そんな方たちを見てきて、私なりに狭小住宅に向かない人の共通点があると感じているので、向かない人8つを書いてみたいと思います(あくまでも私の考えです)。
【その1】狭小住宅でなければいけない理由がない
最初から「私は狭小住宅が建てたい!」っていう人ってあまりいないと思うんです。やはり予算とか、どうしてもその地域で条件に合う土地が見つからなかったとか、親から受け継いだ土地にどうしても建てたいとか、そういう理由があって結果的に狭小住宅を選ぶパターンが多いのではないでしょうか。
わが家の場合は
・ローンに縛られたくないので、その時払っていた公団住宅の家賃と同じローン額にしたい
・最寄り駅までちょっと遠くても歩ける場所(車がなくても生活できる)
というのが譲れない条件でした。
そういうふうに「ここにこだわると、狭小住宅しか選択肢がない」となって、納得して家づくりをスタートできていないと、いざプランを考える段階になっても「えっ、リビングこんなに狭いの?」「収納、もっと欲しいのに…」という不満が出てきてしまうのです。
要は「狭小住宅でもいいから、とにかく家を建てたいんだ!」という強い思いがスタートになっていることが大切だということです。
【その2】「家とはこうあるべき」に縛られている
私も一度しか家を建てたことがないので偉そうなことは言えませんが、狭小住宅に限らず、家づくりは足し算よりも引き算の作業だと思います。
家族それぞれのさまざまな希望を集め、土地の広さや予算、法律などとの兼ね合いを考えながら、優先順位を決めて削ぎ落としていく、という感じです。
これが狭小住宅だと、もっと優先順位をはっきりさせて、削ぎ落としていく感じになりますが、この時「こうあるべき」に縛られるとうまくいきません。
例えば「リビングにはソファを置くもの」「食事はダイニングテーブルで食べるもの」「収納はたくさん必要」…。私自身、そういうふうに思っていた時期があって、この家に住んでいくうちに思い込みだと気づき、やめていったら小さな家が住みやすくなったという経験をしているので余計にそう思うのです。
ただ、自分が育った環境などもあり、こういう思い込みって頭では分かっていても、意外になくすのが難しいと思うので、「こうあるべき」が強い人にはなかなか受け入れ難いのではないかと思うのです。
【その3】数字のイメージにとらわれている
2と似ていますが、いろいろな人と住宅の話をしていてよく感じるのが「数字のイメージにとらわれている人が多い」ということです。
例えば「子ども部屋は6畳ないと」「リビングは○畳以上ほしい」「敷地が○㎡じゃ狭い」といったことをよく聞きます。でも、その数字も根拠のない思い込みだったりとか、自分の実家の子ども部屋が4畳半で狭くて使いにくかったからという理由だったりすることが多いです。
2でも書いたように、特に狭小住宅の家づくりは「削ぎ落としていく」ことの方が多いので、
「子ども部屋は4畳でもいいのかも」「リビングは本当に○畳以上必要?」と検討していくことが必要になっていきます。この時“数字の思い込み”が邪魔になるのです。
実際、ドアとか窓の位置でベッドの置き方が変わったりして狭さを感じなかったりしますし、天井の高さは採光によって広さの体感も全く変わったりするので、根拠なく数字だけで判断しなくなると、選択肢が広がるはずです。
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【その4】動線にこだわる
家を建てる時、動線ってすごく大切な感じがしますが、実際、自分で家を建てて感じたのは、「意外と、頭で考えていた通りの動きにはならない」ということでした。特に狭小住宅のコンパクトなキッチンでは、そこまで動きが重要でなかったりすることに気づいたり。
家づくりの相談にいらっしゃるお客さまでも「ここはこう動くから、こういう配置でなきゃいけない」とこだわる方がいらっしゃいますが、その決めつけによってプランに制約が出てしまうこともあるように思います。
特に狭小住宅の場合、そもそもが広くないので、そこまで動線にこだわる必要があるのかを考えた方がいいし、夫曰く、それよりも「このスペース(通路、廊下など)が本当に必要か?」という視点で考えることの方が多いとのことでした。
長くなったので、残りの4つは次回書きます。