新築時、イメージしていたよりも狭いと思った
狭小住宅というのは、最初から希望して建てる人よりも予算や立地、敷地などの条件が理由で、「結果的に小さな家になった」という人の方が圧倒的に多いと思います。
わが家も同じで、「無理のないローンを組みたい」「電車の駅まで歩ける所に住みたい」という想いがあり、その2つを妥協せずに実現できるのが小さな土地でした。
建築士の夫が「土地が狭くても快適な家はつくれる」という信念を持っていたので、よく分からないながらもそれに乗っかった部分も大きいです(笑)。
それだけに、実際に家が建ったばかりの頃は「イメージしていたよりも狭いなあ」と思ったこともありました。
[参考記事]
ソファを置きたかったのに今は座卓生活
では今、狭いのを我慢して使っているかというと、それは違います。
理由の1つは、住んでいるうちに自分の思い込みに気づいたから。家を建てた当初は「リビングはソファを置いてくつろぐもの」とか「ダイニングセットとソファを置くもの」という思い込みがありました。
でも、この広さのリビングを快適にするためにどうしたらいいかを考えていくうちに「結局、座卓が使いやすい」と気づいて、ダイニングセット、ミニソファも手放していったのです。
たまにソファが欲しいなあと思う時はありますが、結局、洗濯物置き場になってしまうのを経験していることもあり、どうしても欲しいとまでは思わないという感じです。
[参考記事]
我慢していると思わない理由
そして何よりも、ソファを置くこと以上に叶えたかった希望は妥協しなかったから、そう思えるのだと思います。
例えば使いたかったキッチン、お風呂に天窓のような窓をつけること、珪藻土の壁、無垢のフローリングなどは妥協しませんでした。
また、もう少しリビングを広くしたかったのは確かなのですが、実はリビングが1階のプランなら叶っていました。
でも、日当たりなどを重視して、2階リビングにしたことでこの広さとなったわけです。
それが自分にとって我慢や妥協なのか?
家づくりでよく言われるのが、「やりたいことの優先順位をつけること」。
これは狭小住宅に限りません。予算や敷地の条件が限られた中で建てるのだから、すべての要望を叶えるのは難しいです。
家づくりがうまくいくかは、いかにやりたいことをはっきりさせて、例えば世の中でいいと言われていようと、自分にはいらないものをそぎ落としていけるかにかかっていると思います。
最初はやりたいことがたくさんあって当然です。そこから、自分が家を建てるに当たって譲れない部分は何かを考えていきます。
狭小住宅の場合、予算だけでなく、面積の面でも削っていくことが多いでしょう。
特に何度か書いているように、広さは「◎畳」という数字だけでは判断できないので、色々な方法で検討はした方がいいと思います。
その上で、広さや部屋数について「我慢」とか「妥協」だと感じるかどうか?我慢というのは、本当は“こうしたい”というイメージがあるのに、それをあきらめること。
もし、あきらめの気持ちがあって、その理由が予算面なら、もっと土地が安い所にするとか、お金が貯まるまで待つなどした方がいいと思うのです。
狭小住宅に大切なのは、我慢ではなく○○
そう思う理由は、自分自身、狭小住宅に住んで20年目になり、さらに夫の設計事務所で家づくりの相談を受けてきて、狭小住宅には我慢とか妥協のイメージがあるかもしれないけれど、実は一番大切なのは覚悟とか強い想いだと感じるからです。
敷地が小さくても予算が少なくてもこの場所にいい家を建てるんだ、まわりにどう思われようと、自分のやりたいことは実現させるんだという覚悟。どうしてもこういう家を建てたいという、この場所に住みたいんだという強い想いです。
コロナで今後の生活がどうなるか分からない今、改めてそう思います。
例えば「無理のないローンを組みたい」結果、土地が小さくなったわけですが、住宅ローンの負担が少ないのは精神的にとてもラクです。
また、この春、長男が高校に入ったのですが、土地探しの段階で「駅から歩けること」にこだわったおかげで、通える高校の選択肢が広がりました。
先日、記事にしましたが、リビングの広さよりも2階にすることにしたこともそうです。
[参考記事]
そう考えると、“こういう家にしたい”“こういう場所に住みたい”というブレない部分を持つことが、家づくりの始まりなのだと思います。