やたらと服をたくさん買っていた20代、30代
以前は納戸や押入れにある20個以上の衣装ケースとハンガーパイプ2本分、クローゼットにぎっしり洋服があったわが家。今は衣装ケースもゼロになり、洋服置き場だった納戸は私の仕事部屋になっています。
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考えてみたら、最近、昔のように「なんとなく買い物に行きたい」ということが本当になくなりました。
私服の制服化の記事を書くにあたり、昔の家の写真や洋服の購入リストなどを見ていて思い出したのですが、実は私、昔は洋服やバッグをものすごくたくさん買っていました。
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買い始めたのは20代で就職して自分で自由にお金を使えるようになった時。当時は安くて可愛いブランドが今ほどなかったこともあり、百貨店や駅ビルに入っているブランドの店で買っていた記憶があります。
この時期に服を買い始めた理由として、私は三人姉妹の末っ子でお下がりばかりだったのが大きいと思っています。母が倹約家だったこともあって何でもお下がり。しかも長姉よりも次姉のほうが背も高かったので、2人分洋服が下がってくるんです。
新品ではないことが嫌だったわけではなく、自分の趣味で服を選べないのが嫌でした(特に姉とは服の趣味が全く違ったので)。うちの次男もお下がり中心ではありますが、この経験から時々は自分で好きな服を選んで買えるようにしてきました。
その後、20代後半でフリーランスのライターになってからが、一番服を買っていました。
銀座のプランタン、新宿の伊勢丹、ルミネ、池袋の西武、東京駅の大丸…ホントよく行ったものです。最近、その頃に行っていたブランドで値段を見て、こんなに高い服を買っていたのかとびっくりしてしまいました…(もちろん物価の変化もありますが)。
当時は気づかなかった「服を買ってしまう心理」
子どもがいない期間が長かったこともあって、30代前半までよく買い物をしていました。衝動買いはほどんどなく慎重に買っていたつもりですし、もちろん、支払いができなくなるような買い方はしたことはありませんが、年間にしたら結構な額になっていたと思います。
それほど服を買っていた本当の理由に気づいたのは40代になってからです。フリーランスになって色々な会社の仕事をするようになると、仕事先の人がおしゃれで優秀に見えました。元々、自分の体型やファッションに自信がなかった私は、ブランドの服を着ることで自信を持とうとしていたのだと思います。
そうした自信のなさに加えて学歴コンプレックスもありました。フリーランスになってからは仕事を頑張って収入も会社員時代より増えたことから、「学歴のない自分でも、こんな高い服を買えるぐらい活躍できるんだ」と証明したくて買っていた気がします。
出産後、服を買うようになった別の理由
30代ですごく太ってしまい、今より5〜7kg太っていました。その後、出産(授乳)で激やせしたことで、今までの服が着られなくなってしまったこと、久々にサイズを気にせず服を買えるようになったのがうれしくて、また服を買うのが楽しくなりました。さすがにそれまでのようにお金は使えなくなったものの、子育て中にしては服を買っていた気がします。
また、この頃は別のコンプレックスが刺激されていました。ママ友に「パパが誕生日に買ってくれた」「サプライズでプレゼントしてくれた」みたいな話をさりげなくする人がいて、ちょっとうらやましい気持ちがありました。「私は自分で買えるし」とばかりにバッグやアクセサリーを買ったことがあることも告白します。
もちろん当時は無意識でした。最近読んだ角田光代さんの小説「紙の月」には、服を買いすぎてしまう女性が出てきます(主人公の友人)。お店で勧められたものを買わないと負けたような気持ちになったり、離婚して離れて住んでいる娘にすごいママだと思われたかったりして買い物してしまうのですが、当時の自分もこれに近い心理だったのではないかなと。女性には他人を意識して買い物してしまうこと、意外にあるのではないでしょうか。
服をたくさん買って気づいたこと
50代になった今、あの頃のことを思い出すと、ちょっと情けないような、「そんなに自分を大きく見せなくてもいいんだよ」と声をかけてあげたいような気持ちになります。
でも、そんな買い物歴があり、買い物の失敗もしてきて、色々な気づきがありました。
【たくさんの服を買って気づいたこと】
- 一生もの、定番という言葉に弱かったが、やはり形にも流行があり、よほどオシャレな人じゃないと同じものを長年着こなせない。
- 雑誌などで○○さんがおすすめという記事が好きで、参考にしたりしたけれど、意外によくないものもある。
- 体型が変化すれば、どんなに気に入っていた服も着られなくなる。
- 似合う形、色は年齢を重ねると変わる、
- 洋服で自分が判断されていると思いがちだけど、意外に人は相手の服を見ていない。ただ、自分が自信を持って着られることは大事。
- 買った時の値段と売る時の値段の差、処分する辛さを知った(だんだん買うのが慎重になる)。
買い物をただの浪費に終わらせないために
最近はSNSなどで他人の生活を見ることができるので、特に20代、30代は人と比較してしまいがちだといわれます。これを聞いた当時は「自分は自分、人は人なのに」と思ったものですが、30代の頃のママ友の話なんて、まさに同じだなあと。
長年、コンプレックスなどから服をたくさん買ってしまった経験、ブランドに頼ってしまった経験、広告や雑誌の記事に踊らされてしまった経験や買い物の失敗をした経験があるからこそ、少ないもので満足できる自分、買い物が娯楽じゃない自分が(ようやく)作られたのだと今は思います。もちろん、今もファッションセンスや体型に自信はないけれど、自分を大きく見せなくてよいと思えるようになったのは年を重ねてよかったことです。
そして、50代になって今まで買ってきた服を振り返って思うのは、基本的に趣味が変わっていないということ。それに気づけたことも、あれこれ服を探さなくなったことや私服の制服化につながっています。
自分のことを考えると、若いうちから洋服の制服化ができるミニマリストさんはすごい。でも、生活に支障がないのなら、若い時にたくさん服を買って失敗してもいいと思うのです。可能なら自分のどんな感情が服を買わせてしまっているのかを分析できれば、結果的に無駄な買い物にはならないと思います。
結局、着やすいものしか着ないと気づかされたたアイテムです。
ハイブランドに手を出さなかった理由
そういえば、たくさん服やバッグを買ったもののエルメスやグッチなどのハイブランドのバッグ類には手を出しませんでした。その理由は着ている服に合わないと思っていたこともありますが、新婚旅行でパリに行った時の経験が大きいと思います。
パリでは10代、20代ぐらいの人は本当にカジュアル(トレーナーにジーパン)な服を着ていて、ブランドのお店にはいませんでした。明らかなブランドもののバッグを持っているのは年配のマダムばかり。本当にカッコよかったです。
そして、エルメスに行ったのですが、明らかに日本人に対して「エルメスなら、なんでもいいから買うんでしょ」という態度。国内のハイブランドの店員さんのような手厚い接客ではありませんでした。それを見て本場の人たちから「一般人が持つようなブランドじゃないんだよ」と言われているように感じたし、自分たちがいいカモと思われているようで一気に買う気をなくしました。
パリで若い人やマダムの服装の差を見れたことは、すごくいい経験だったと思っています。でも、自分が洋服に使ってきた金額を考えると、どうせならハイブランドのバッグでも買っておいた方が元を取れたと思わなくもありません(笑)。
ゼロにしてから小分けしたいものは無印のダンボール製品で統一しています。