住宅は同じ条件で比較できない
注文住宅を建てるとき、いきなり1社を決めて依頼するのは難しいです。
でも、そもそも見積りというのは、同じ条件で比較するから意味があると思うのですが、住宅の場合、それができません。
注文住宅を依頼する場合の窓口は、
- 設計事務所
- 工務店
- ハウスメーカー
などがありますが、設計事務所は工事を行わないので、設計事務所が作ったプランに基づいて、工務店に見積りを依頼する形になります。
また、ハウスメーカーによっては、ドア、窓、キッチン、お風呂、トイレなどはゼロから選べるというよりは、いくつかの選択肢の中から選ぶというケースもあります。
つまり、設計事務所とハウスメーカーを比較している時点で同じ家ではありません。当然、金額も違ったものになるわけです。
同じ家で工事金額だけを比較できるのは、設計事務所に依頼した場合だけです。
このようにプランの違う家を比較して時間をかけるのは、前回書いたように見積りを作る側、比較する建て主さん側どちらにとっても大変すぎる、ということが、私が何社にも見積りをしない方がいいと思う理由なんです。
相見積りの依頼でチャンスを逃している!?
もっと言ってしまえば、工務店というのは小規模な会社が多いです。お客様が「とりあえず比較しよう!」と気軽に頼んだ1つの相見積りが、ものすごく負担になってしまいます。
それだけに、忙しい時期だったら見積りを断る可能性もあります。
気軽に相見積りを受けてくれる会社と、相見積りを断る会社。一見、受けてくれる会社がいいと思いがちですが、実は忙しくて断ってきた会社の方が技術レベルは高く、実績も豊富という可能性もあるわけです(もちろん必ずしもそうとは限りませんが…)。
まず相見積りで会社を比較することによって、本当に腕のいい会社で家を建てるチャンスを逃しているかもしれないと思うと、もったいないと思うのです。
見積りの前に会社を決める
じゃあ、どうすればいいの?と思いますよね…。
これが正解、という方法はありませんが、これまで様々なお客様の家づくりに関わったり、工務店や夫、夫以外の建築士の話を聞いたりして思うのは、「どこの会社に頼むのかを決めること」と「見積り」は分けて考えた方がいいということです。
まずは設計事務所、工務店、ハウスメーカーなどを見て、プランを提案してもらう。
そして「こういう家を作ってくれる会社に頼みたい!」と思える1社に絞った上で見積りを出してもらって、そこから予算に合わせて不要な項目を削ったり、他のものに替える努力をしたりする方がスムーズです。
「金額が高過ぎて、予算におさまらなかったらどうする?」という不安があるなら、自分の全体の予算と家に対しての希望を伝えることで、概算見積(ざっくりした見積り)を出してもらったり、「その予算では厳しい」といった回答はもらったりすることはできるでしょう。
見積り以前に考えたいこと
もし、「設計事務所、工務店、住宅メーカーをあちこち見学したけれど、1社に絞ることなんてできない」という場合は、改めて自分は何を重視しているのかを考えてみた方がいいと思います。
先ほど「ハウスメーカーによっては、キッチンやドア、窓などをいくつかの選択肢の中から選ぶケースもある」と書いたように、設計事務所、工務店、ハウスメーカーの家はそれぞれ違います。
また、設計事務所と一言でいっても本当に色々です。工務店に建築士がいる場合もあり、窓口としては工務店だけれど、設計事務所に頼んだような家が建てられる場合もあるでしょう。
どれがいいということではなく、一長一短あります。
でも、例えばプラン重視の人と、とにかくお得に家を建てたい予算重視の人とでは、選ぶ会社は変わってくるはずです(もちろん、プラン重視=予算度外視なんてことはなく、自分の予算はきっちり守るのは大前提)。
家づくりは期間が長く、住んだ後もメンテナンスなどで会社との関わりは続くので、窓口となる会社や担当者との相性、工期など、重視するポイントは他にももっとあるはずです。
結局、何を一番重視しているかがブレていると、家づくりの過程でもうまくいかないことが出てきます。
- なぜ、今、家を建てるのか?
- 家を建てる上で譲れないことは何か?
- その家に住んでどんな生活をしたいのか?
- どんなふうに家づくりをしていきたいか?(時間をかけて1つ1つ決めたい、ある程度はお任せしたいなど)
を改めて考えて、優先順位をつけていくと、どこの会社に頼むかが見えてくるように思います。
[参考記事]