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[家を建てる時に知ってほしいこと]注文住宅の見積りは自動車とは違います

家づくりに関する誤解

もし、夫と結婚していなかったら、たぶん、私は新築マンションを買って住んでいたと思います。

建築や設計事務所とは無縁の世界にいたし、一般的な人が一戸建てを買う場合の選択肢といえば、住宅展示場にあるようなハウスメーカーの家か建売ぐらいしか知りませんでした。

昔から家やインテリアのジャンルは好きでしたが、設計事務所に家を依頼するなんて特別な人がすることだと思っていたのです。

そんなわけで、自分が家を建てたり、設計事務所の手伝いをしたりする中で、初めて知ったことがたくさんありました。

設計事務所をやっていると、「これって誤解されてるよなあ」ということが結構あるのですが、以前は自分も誤解していた側だったので、その気持ちも分かる部分が多いです。

そんな誤解について分かりやすく伝えたいと思ったのもブログを始めた理由だったりします。

注文住宅の見積りは時間がかかる

誤解されていると思うことのNo.1は「見積り」についてです。

よく「○坪に2階建てを建てたいんだけど、いくらぐらいかかるかなあ?」とか、「家をリフォームしたいんだけど、500万円でできる?」と聞かれるのですが、簡単に答えられません。

注文住宅の見積りを、自動車メーカーのディラーで見積りを取るのと同じようなイメージで考えている人が多いのだと思います。

ちなみに注文住宅とは、ゼロから選べるオーダーメイドの住宅という意味で使っています。

[参考記事]

自動車の場合、例えば“プリウスの○○グレード”のような「ベース」があって、そこにオプションを足していくイメージで見積りができるでしょう。

この場合、ベースもオプションも価格が決まっています。もし、特別な塗装などをした場合はプラスαの金額になりますが、塗装する面積は分かっていますし、基本となる金額は決まっていると思います。

だから、本体+オプションA+B+Cというような計算で見積りが出せると思うのです(自動車メーカーの方、もし違っていたらすみません)。

でも、注文住宅の場合は同じ家はないわけですから、ゼロからの見積りになります。

ざっくり言うと、

  • 使用する面積に対して材木、塗料などをどれぐらい使うか1つずつ出していく。
  • 図面の細かい部分を読み解き、大工さんの作業が何日ぐらいかかるかを計算する。
  • 建てる場所によっては、工事に使う車を置くための駐車場、誘導員などが必要かを考え、かかる経費を計算する。

といった作業が発生します。

つまり、見積りにすごく時間がかかるわけで、2〜3週間かかるのが普通です。

注文住宅と自動車の見積りは違う、というのは、こういうことなのです。

契約前の見積りを有料にしている工務店や設計事務所があるのも同じ理由で、本来、無料でやれるような作業ではありません。

むしろ「無料」や「すぐ見積り」を謳っている会社のほうが、急いで出すためにざっくりとした金額(=金額を多めに見る)になっている可能性はあります。

[参考記事]

相見積りは取った方がいい?

よく家づくりに関する記事を読んでいると、「見積りは何社か取って比較しましょう」とあります。いわゆる相見積り、あいみつですね。

記事によってはたくさん取った方がいいと書いてありますが、正直、ちょっと無責任な意見だなあと思います。

なぜなら、先ほど書いたように注文住宅の見積りは時間がかかります。人気のある工務店では相見積りなら断るところもあるぐらいです(つまり、本当に腕のいい工務店からは断られてしまうリスクがあります)。

また、見積りの項目も細かく分かれていたり、会社によっては「経費」として項目をまとめてしまっていたりして、家を初めて建てる人が単純に合計金額を簡単に比較できるものではありません。

気になった会社を比較しましょう!と、4社、5社の見積りを勧めている記事を読んだことがありますが、気軽に頼まれた会社も、比較する建て主自身も大変です。

もちろん、いきなり1社を決めて契約というのもハードルが高いと思います。

では、どうすればいいのか。家づくりを依頼する会社を決めるための方法は、相見積りではない、というのが私の考えですが、次回、その方法について書きたいと思います。

見積りのことを聞かれると、いつも自動車を例に出しています