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[アフターコロナの家づくり]間取りや部屋数より大切なこと

大切なのは間取り“以外”の部分

緊急事態宣言が解除されて、子どもたちの学校も段階的に始まり、仕事も少しずつ動き出して、日常が戻ってきました。

3月の初めから休校だったので、約3カ月間、ずっと家族で過ごしたことになります。私たち夫婦は元々、在宅勤務とはいえ、ここまで外出しなかったのも初めてです。

自粛期間中、多くの人が感じたことだと思いますが、私も改めて住む環境の大切さを実感しました。

では、家を建てる時、何を重視したらいいのか?

ネットにたくさんある家づくりの記事や口コミを読んでいると、間取りや部屋数が重視されているように思いますが、長く家に籠っていて感じたのは、むしろ家で気持ちよく過ごすのに大切なのは、「それ以外」の部分だなあと。

「間取り」が家を真上から平面だけで見ている状態だとしたら、「それ以外」は家の中にいて座ったり、寝ころんだり、外を見たりして体感できる部分です。

間取りとプランの違い

実は家を設計する建築士は間取りとはいう言葉はあまり使わず、プランと言います。

2つの違いは、簡単にいえば次のようになります。

間取り→部屋の配置。あくまでも平面的なもので、部屋の並び方を俯瞰からのみ見た状態。

プラン→部屋の配置やつながりを、平面だけでなく、高さ、奥行きも含めた立体的に考えたもの。

プランは、まず敷地に対してどうやって建物を配置するかから始まり、家の中については部屋の配置だけでなく、天井の高さ、窓の配置、床から窓の高さ、階段の配置まで考えます(他にも色々あります)。

「そんなこと、どの家でも考えてるでしょ?」と思うかもしれませんが、正直、「なぜ、この敷地で、ここに窓を作ったのだろう?」とか不思議に思う家はたくさんあります。

要はその敷地、そこに住む人の要望に合わせて、日当たり、窓から見える景色、風の通り、家族の動線などをすべて考え抜いたのが「プラン」です。

間取りは、プランの中の一部に過ぎないのです。

もし、間取り重視の家だったら?

先ほど“家で気持ちよく過ごすのに大切なのは、それ(間取り)以外の部分”と書きました。

そう感じたのには、今回、単に家で過ごす時間が長かっただけでなく、朝から晩まで家にいたこと、さらに肌寒い時期から夏を感じる時期まで過ごしたことが大きいと思います。

気軽に外に出られず、天気の悪い日もあったりしましたが、窓から季節の変化を感じたり、天窓から雲の流れを見たり、窓から吹き抜けていく風を感じることでずいぶんリラックスできました。

わが家は部屋数でいうと、9畳ほどのLK(キッチンとリビング)と約7畳、約5畳、約3畳の3部屋ですが、もし部屋数がもっと多くても、窓の位置が特に考え抜かれていなくて、天窓もない家だったら、自粛期間はもっとキツイものだったと思います。

また、子どもたちは休校中、かなりゲーム時間が長かったのですが、それぞれがきっちり分かれた個室を持っていてドアを閉めて過ごしていたら、顔を合わせるのはご飯の時だけになってしまい、何をしているか心配だったはずです。

でも、部屋同士のつながりを感じられる家の造りのおかげで、「ゲームをやっているけれど、兄弟仲良く遊んでいるんだな」とか、常に家族の気配を感じながら過ごすことができました。

まさに小さな敷地や家のまわりの風景を活かした「プラン」のおかげだと思います。

間取り図を見るよりもオススメしたいこと

でも、自分がどんなプランが好きなのか分からないし、自分に合ったプランを考えてくれる建築士はどうやって見つけたらいいのか?と思うかもしれません。

ネット検索すると「間取り実例集」がたくさん見つかりますが、それを並べて比較するよりも、モデルハウスでも新築した友達の家でもいいので、たくさんの家に行って見て「体感」することをオススメします。

または好きなカフェやインテリアショップなどがあったら、何でここが好きなんだろう?を深堀してみるのもいいです。

“デザインが好き“で片づけてしまわず、座ると天井が低くて落ち着く、階段の上から下の部屋が見渡せるのが好き、この位置に窓があって気持ちいい…というふうに分析するのです。

ちなみに私はインテリアショップなどで、段数の少ない階段がある雰囲気と、お風呂場で上から光が入る感じが好きで、家を建てるときに要望に入れてもらいました。

また、わが家はフローリングが無垢材で、窓枠も木なのですが、実は建てるときは見た目が好きで選んだものでした。でも、改めて家の中で長い時間過ごしてみて、気持ちよさにつながっていると実感しました。

感覚的なことが大切になっていく

今回、書いたことは、なんだかとても感覚的なものですが、その“感覚”がとても大切だと思うのです。

もし、建築士を探す場合は、実際に建てた家を見させてもらって、その人が建てる家の空気感みたいなものを体感するのがいいと思います。

コロナの影響で新築やリフォームの分野でワークスペースが注目されているように、早くも家づくりに求められるものが変わってきています。

でも、これからは「こういうスペースが必要」という条件的なことだけでなく、もっと家で過ごす時間の心地よさが重視されるといいし、そうなっていくのではないかと思うのです。

和室へとつながる階段の読書コーナー
リビングから和室へとつながる階段。本棚があり、階段がベンチ代わりにもなっています。
部屋数や広さを重視していたら、生まれなかったスペースです