マンション育ち、戸建て歴19年ですが…
冬になると、モヤモヤすること。それは「戸建てって寒いよね」とマンションに住んでいる人に言われることです。
よく話題になる「マンションvs戸建てどっちがいい?」ですが、以前から議論される方向がちょっと違うんじゃないかなあと思っていました。
私はマンションで育ち、自分の実家や夫の実家、きょうだいの家もマンションです。自分の実家は築40年以上ですが、夫の実家は両親が老後に引っ越したので築10年程度と、古いマンション、新しいマンション、どちらの冬も経験しています。
そんな立場から言うと、寒さの面で2つを比べること自体がナンセンスだと思うのです。そもそも寒さ、暑さはかなり個人差があるので、比較が難しいというのもあります。
マンションが暖かいのは当たり前
マンションと戸建て、暖かいのは…断然マンションでしょう。
それはマンションが鉄筋コンクリート造だというだけでなく、居室の上下左右を他の居室で挟まれていることで、自分の住む居室とまわりとの温度差が少ない状態だからです。
しかも各居室が暖房していれば、なおさら暖かくなります。
実際、実家のマンションは1階なので、床に座っていると冷えを感じますし、義実家のマンションは上下左右に居室があるので本当に暖かいです(築年数の違いもありますが)。
当然、戸建ての場合、どんなに密集した地域でも、自分の家の周りは外になるのでマンションより寒いというわけです。
戸建てがすべて寒いわけじゃない
では、戸建てはどこも同じように寒いかと言うと、これも家によって大きな差があります。
- 断熱材の違い(天井・壁・床などに入れる断熱材の種類、厚さや量)
- 窓の性能の違い(二重サッシ、ペアガラス、Low-E(ローイー)ガラスなど、どれを使うかで)
- 日当たり
が大きいということです。
そして、屋根、壁、サッシなどを通して、外の寒い空気、暑い空気をどれだけ室内に入れないかを表したのが「断熱性能」です。
断熱性能は建てる地域ごとに1〜4までの「断熱等級」があり、1のような断熱材の種類、量、厚さ、2のような使用するサッシや窓ガラスが決められています。
そして、建築基準法ではどの等級にしなければいけないという決まりはないのです。
つまり、同じ住宅地の隣同士でも、その家の断熱等級よって暖かさは変わるわけで、「戸建て」とひとまとめにしてしまうのは違うということです。
戸建ても暖かくなっている
よく「古い一軒家だから寒い」と言われるのは、今の家は断熱性能が格段にアップしているからです。
「建築物省エネ法」が施行されるなど、住宅のエネルギー性能については国の要求も高まっていることもあり、断熱性能は年々高くなっています。
3年前の冬、夫が設計している住宅の工事中や引き渡し直前に行かせてもらったことがあります。
その日、わが家では暖房を使っていましたが、お客さまの家は引き渡し前で暖房が入っていないにもかかわらず、それほど寒くなくて驚きました。場所もうちの近所です。
その家の断熱等級は4、わが家は現在の等級で考えると3(当時は断熱等級という表示がなかった)。わが家を建てた今から19年前は、それが当時の建築業界の常識としては決して低くないレベルだったそうです。
だから、同じ戸建でも、建てた時期によって暖かさは違って当たり前なのです。
寒がりでも戸建てに住んでいる理由
「戸建てとマンション、どっちがいい?」「戸建てって寒い?」と思っている人は、マンションに住んだほうがいいというのが私の考えです。
例えば戸建てでも、マンションの暖かさをめざして、断熱性能をできる限り高くすることは可能ですが、費用がとんでもなくかかったり、壁が分厚くなったり、デメリットも出てくる可能性があります。
そこまでして暖かさを求めるのなら、マンションに住んでしまった方が早いと思うのです。
わが家は夫婦ともに寒がりです。それでも戸建てを選んだのは、天井の高さ、使える床や壁の材料、スキップフロアのような家の中に変化のある造りなど、マンションにはない自由さがあるからです。
「マンションvs戸建てどっちがいい?」という比較は、同じ「家」だけれど、実は比べているものが全く違うので、意味がないと思うのです。