CMの「古いものでも買い取ります」は本当?
昨年、友人の実家じまいを手伝いました。また、自分の実家も両親が亡くなった後、姉たちと手分けして片づけを終えました。
たくさんのものがある中、なるべく「捨てないこと」を重視して人に譲ったり、メルカリで売ったり、リサイクルショップに持って行ったりしたのですが、悩んだのが着物でした。
私の実家と友人の実家合わせると相当な量の着物や帯があり、初めは寄付も考えました。でも、やめたのは、買取先や寄付先を検索する中でこんな記事を読んだからです。

引用:京都なをし屋 なおし屋マガジン 2021年10月7日のブログ「着物の高価買取は本当にあるか?」より
私は着物の知識は全くありませんが、特に最後の「訪問査定の業者は避けた方が良い」にめちゃくちゃ共感したからです。
着物ではありませんが、車、バイク、ブランド食器をCMで有名な業者で買取査定してもらったことがあります(すべて異なる業者)。CMなどでは「古いもの、壊れていてもOK」「金額に納得できなければ断ってOK」などと謳っていますが、実際は全く違いました。
最初の車で納得いかない取引をしてしまった後悔があったので、その後、バイク、ブランド食器については納得できない金額だったら断る決意で臨みました。
そもそもバイクは買取ではなく廃車費用を提示され、「廃車するなら自分でやるのでいいです」と断ったのに、なかなか帰ってくれず…。最初に提示してきた廃車費用と桁が違う低い金額を提示されて呆れました。まあ、業者さん側もわざわざ来ているのだから収穫ゼロで帰るわけにはいかないのだと思います。
ブランド食器は感じのいいおじちゃんだったのですが、食器に大した値段がつかず、「貴金属はないですか?」と聞かれました。処分しようと思っていたシルバー製品しかなく、それを出したらあきらめたように500円で買い取ってくれましたが、気が弱い人だったら何か高価なものを出してしまったりするだろうと思います。
「着物 寄付」で検索して見つけた団体
…と話が着物から外れましたが、どの着物も新しいものではなかったので、同じようなパターンになることが想像されたので、寄付先を探すことにしました。
「着物 寄付」で検索するといろいろな団体が見つかります。集めた着物を必要としてくれている先に届ける事業、アップサイクルの素材として活用する事業、販売した収益を役立てる事業などがありましたが、サイトの情報だけでは実際に活どう活用されるのか分かりにくい所も多く、寄付先を決めるのは難しかったです。
友人の実家には七五三の帯や髪飾り、振袖がきれいな状態で残されていたこともあり、七五三、振袖などのキーワードも交えて検索していく中で見つけたのが、貧困による教育の格差解消をめざして活動しているNPO法人「きもの笑福(わふく)」でした。児童養護施設や母子支援施設の方、障がいのある方に七五三や成人式の着物を提供し、着付けや写真撮影までを無償で行う事業などを行う団体です。
きれいな状態のものは、できれば形を変えずに役立ててもらえればとも思っていたので、この団体にメールしました。
お礼のメールに書かれていたこと
過去に色々なもの寄付先を探してきましたが、メールしても全く返事がもらえないこともあります。また、寄付を募っていても、実際にはあまりウェルカムじゃないと感じる団体もありました。
だから、ちゃんと返事がいただけると安心します。こちらもすぐにお返事いただき、でした。この度は、草の根をかき分けても見つからないほどの小さな弊団体へのご支援、本当にありがとうございます」と書かれていて、一生懸命活動されているのだと感じました。
メールで送っていいもの、ダメなものなどを確認したりして、着物や帯、草履を送りました。
2家族分な上、友人の実家は着物箪笥もあったぐらいなので、かなりの大きな段ボールになってしまいました。
送った後、すぐに到着報告とお礼のメールをいただき、お返事には七五三の帯は友人が子ども時代に使ったものをお母様が大切に保管していたもので、活用してもらえることを友人も喜んでいました。と書いたところ、再度お返事をいただきました。
メールには寄付のお礼をはじめ、お祝いしてもらうことで、生きる希望や目標をもてる女性になってほしい、そして大人になった時にかず様やご友人の家庭ご家庭のような温かい家庭を持ってほしい、という願いで活動をしていることが綴られていました。
やっぱり遺品整理のものは捨てられない
これまでも不用品をどうにかゴミに捨てずに活かせないかと考えて寄付などをしてきましたが、正直、送料も自己負担のことが多いし、なんだかんだいって時間もかかるので、「私、何やってるんだろう。単なる自己満足?」と思ったこともありました。
だから、こういう温かいやりとりができると、捨てたりリサイクルショップに持って行ったりせずに寄付と選んでよかったと思います。
特に実家の片づけや遺品整理で出てきたきれいな状態のものは、少なくとも親がずっと置いておきたいと考え、保管をしてきたものだと思うのです。それを考えると、やはり簡単に捨てるのは難しいし、欲しいと言ってくれる人がいるならできる限り届けたいと思います。
2軒の実家じまいを経験して感じたのは、自分にとっては古いもの、いらないものでも欲しい人は意外にいるということです。
もちろん大きさや送料などの関係で結局、廃棄を選んだものもありますが、できる限りゴミにせず、寄付、譲る、売却などの方法で実家の片づけを終えることができました。ただ、時間はとてもかかりました。
この経験から、自分の持ち物はできる限り少なくしておきたいと思ったことが、50代で終活を始めたきっかけになっています。