前回の続きです。
【その5】大は小を兼ねると思っている
私自身、家自体は狭かったものの、家具や車は「大きいものを買っておけば、応用が効く」という考え方の家庭で育ったので、「大は小を兼ねる」は長年、持っていた考えです。でも、狭小住宅に住むうちに、「必ずしもそうではないんだな」と気づいたという経験をしています。
だから、気持ちも分かるのですが、家を建てる時、特に狭小住宅となると、この考え方は結構ネックになります。何度も書いているように、「優先順位を決めて、削ぎ落としていくこと」が求められるからです。
そして、家づくりの相談などを受けていると、結構、この考え方で進めている人が多いです。「クローゼットは将来モノが増えた時に備えて大きめにしておきたい」「キッチンのシンクは大きい方が使いやすい」などなど…。
確かに大きい・広い方が可能性は広がりますが、むしろ「クローゼットは最低限の広さにして、モノを増やさないようにしよう」と割り切れたり、「キッチンのシンクはここまで大きくなくても、使い勝手は変わらないかも」と柔軟に考えられる人のほうが、むしろ狭小住宅がつくれると思います。
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【その6】人からどう思われるか気になる
これまでは狭小住宅を建てる際にネックになる考え方を中心に書いてきましたが、この6は住んでからのことです。
家を建てると、色々な人が遊びに来てくれます。その時が「ステキな家だね〜」と言われるのですが、後日、何気なく話していた時に「子どもが生まれたらどうするの?」「年取ったらどうするの?」みたいなことを言われることが多かったです(笑)。
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特に子どもが生まれてからは「家、引っ越すんでしょ?」と言われたこともありました。最初はいちいち傷ついていたのですが、年を重ねたせいもあり、「なんで小さい家の快適さが分からないのかな〜」と笑い飛ばせるぐらいに図太くなりましたが(笑)。
東京23区内の場合は狭小住宅も普通なので、こんなこともないと思いますが、私が住んでいる千葉県ではまだ「家は3LDK以上」が当たり前で、「マンションならまだしも、戸建ては広いもの」というイメージも強いです。首都圏以外だったら、この感覚はなおさらだと思います。
そういう地域で家を建てて、私のように「なんでこんな小さい家建てたの?」的なことを言われて傷ついてしまうタイプの人、友達が大きな家を建てて比較してしまうタイプの人は、狭小住宅に向かないです。
個人的には自分達がよいと思えば、それでOKだと思うのですが、ネットの相談コーナーなどをみていると、「こういう家ってどう思われるでしょうか?」という質問をしている方が結構いますよね。
また、親や親戚から言われることも多いようです。やはり親世代のほうが「戸建は広いもの」という先入観を持っていますので、口の悪い親戚に「なんでこんな小さい家建てたんだ?騙されたんじゃないのか?」みたいなことを言われたという話を聞いたことがあります。
これは結局、前回の記事の1に書いた「狭小住宅を建てる理由がちゃんとある」につながると思います。
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【その7】家は一生ものだと思っている
家はちゃんと建てれば長く住めます。でも、家が長持ちすることと、家族が増えてからも「一生同じように住む」ことは意味が違います。
これまで書いたことに近いのですが、狭小住宅を「子どもが生まれる前の夫婦2人」「子育て期」「老後」同じように使って暮らすと考えると、すごく難しいと思います。
わが家はまだ夫婦2人の時に家を建てましたが、その後、子どもが2人生まれてリフォームしたり、模様替えしたりしながら暮らしてきました。
今後、子どもが独立して夫婦2人になったら、また部屋の使い方も変わっていくと思っています。
リフォームまでしなくても、その都度、臨機応変に変えながら暮らしていくという感覚が持てないと、特に子どもがいる場合は部屋数やスペースの限られる狭小住宅での生活は難しいと思います。
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【その8】モノを減らせない
私自身は片づけが好きで、モノを減らしてすっきり暮らしたい派です。でも、モノを減らせない人は、無理に減らせなくていいと思っています。
ただ、狭小住宅で「モノがたくさんあるけど、全く減らせない」「片づけが嫌い」となると、収納が必要以上にスペースを取ることになってプランニングがうまくいかなかったり、貴重な1部屋が物置になってしまったりします。
また、広くない部屋では視界に入るモノも多いので、「ただの狭くてゴチャゴチャした家」になってしまう可能性もあります。
実際、わが家に見学に来て「モノをここまで減らせない」と言って、狭小住宅をあきらめた方もいました。
大切なのはモノを最小限にすることではなくて、置いておきたいものの優先順位をはっきりさせることだと思います。
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以上、狭小住宅に向いていないと思う人のタイプ、考え方を8つ挙げてみました。
こうやって書いてみると、結局、共通しているのは、「自分や家族の大切にしたい部分を知る」「優先順位をつける」「世間の常識や評価に流されない」「強い思いを持つ」ということだと思います。
思い込みを外してみることが、難しい条件の土地、予算でも、自分好みの家が建てられる第一歩になります。